リハビリテーション科
部門紹介 外科・内科病棟でのリハビリテーションについて
外科・内科病棟リハ主任
石﨑 仁弥
外科病棟では、開胸・開腹術を施行される患者さまに対して、術前もしくは術後よりリハビリ介入を行い、二次的合併症(心肺機能、筋力低下、術後肺炎など)を予防し円滑な退院に努めています。
内科病棟では、循環器・呼吸器・消化器系の疾患や糖尿病の患者さまに対し、それぞれの専門分野での知識や技術を活かして、運動療法や患者教育を行い、身体機能、活動レベルの改善、疾病再発予防に努めています。
以下にそれぞれの専門分野でのリハビリテーションについて説明します。
外科・内科病棟担当のリハビリスタッフ
勉強会風景
【心臓リハビリテーション】
心臓リハビリテーションとは?
●心臓リハビリとは、心臓病によって低下した心機能や全身の機能を改善して、心臓病の再発や新たな発症を予 防したり、生活の質を改善したりするために行うものです。
●心臓リハビリでは、「運動療法」と「食事療法」に加え、患者さん自身が自分の病気やからだの状態について正 しく理解するための「患者教育」が柱となります。
●心臓リハビリでは、患者さまを中心に多種多様の医療スタッフ(医師、看護師、リハビリスタッフ、薬剤師、 管理栄養士、メディカルソーシャルワーカーなど)が連携して、定期的な心臓リハビリカンファレンスを行い、 患者さまに合ったオーダーメイドのリハビリをすすめます。
心臓リハビリチーム
勉強会風景
当院における心臓リハビリの流れ
当院の心臓リハビリ内容
<入院>
●病棟や心臓リハビリ室にて、モニター監視下で専門の理学療法士が運動療法を実施しています。(心臓リハビリテーション指導士:3 名、内部障害(循環器)認定理学療法士:2 名 在籍 2020 年 1 月現在)
●定期的な身体機能評価(心肺運動負荷試験や筋力検査など)に応じて運動負荷量を調節し、効果判定を実施しています。
●疾病自己管理能力向上を目的にチェック表を用いて、病識の低下している項目を把握し、個別の患者教育を実施しています。
●退院時には運動療法や生活指導を明記したパンフレットを用いて、各指導を行い、在宅での疾病予防に努めます。
身体機能評価
<外来>
●退院後は、必要に応じて外来定期受診時に入院から継続した身体機能評価、患者教育を行い、疾病管理を実施しています。
患者教育、個別指導
【呼吸リハビリテーション】
呼吸リハビリテーションとは?
●呼吸器疾患の患者さまの多くは、呼吸苦から活動量が低下し、筋力が低下し、呼吸・循環機能が悪化するという悪循環が生じます。
●呼吸リハビリは、そのような呼吸器疾患(慢性呼吸不全、気管支喘息、肺炎等)の患者さまを対象とし、呼吸 困難の軽減、運動耐容能の改善、日常生活活動の改善を目的としています。
当院における呼吸リハビリの現状
<呼吸リハビリ治療プログラム例>
- ・呼吸法の練習
- ・呼吸筋トレーニング
- ・呼吸介助(胸郭可動域運動)
- ・運動療法(筋力増強練習、有酸素運動など)
- ・排痰練習
- ・日常生活指導
呼吸リハチーム
胸郭可動域測定
呼吸機能検査
スパイロメータ
口腔内圧計
【呼吸教室】
当院では、呼吸器疾患の患者さんやご家族の方、また興味がある方を対象に、1年に4回テーマを分けて「呼吸 教室」を開催しております。1年間を通じて参加されますと、呼吸器疾患について様々な分野の知識を深められる内容となっています。どなたでも参加できますので、お気軽にご参加ください。
呼吸教室の風景
【過去の呼吸教室状況】
開催日時 | テーマ | 参加者 | |
---|---|---|---|
第1回 | 2018.11.20(火) | 医師:呼吸の病気について | 13名 |
第2回 | 2019.1.22(火) | 医師:インフルエンザ予防について 管理栄養士:食事や栄養面について |
10名 |
第3回 | 2019.4.23(火) | 医師:今日から学ぼう呼吸について 薬剤師:学びましょう正しい吸入療法 |
36名 |
第4回 | 2019.7.23(火) | 医師:肺がんについて 看護師:肺炎予防について |
33名 |
第5回 | 2019.10.29(火) | 医師:今から流行る感染症 理学療法士:息切れを和らげる呼吸 トレーニング |
52名 |
第6回 | 2020.1.28(火) | 医師:今から流行る花粉症 管理栄養士:食事について |
22名 |
【糖尿病のリハビリテーション】
当院における糖尿病のリハビリの現状
主に糖尿病教育入院の患者様を対象とした運動療法の個別指導を実施しています。主な内容としまして、パンフレットを用いた運動療法についての講義や個別指導、身体機能の評価、自宅での運動習慣の獲得に向けた運動療法の実践を実施しています。また、退院後も定期的な指導を実施しており、運動療法の理解と運動習慣の定着化 を目指します。
糖尿病教室の風景
イベント
年に1度、「糖尿病の集い」というイベントを実施しています。リハビリでは、糖尿病についての講義や体験型のコーナーにて血糖値や骨密度・体組成の測定などを行っています。
※ 2019 年度糖尿病の集い 参加者数:50 名
糖尿病教室の風景
【がんのリハビリテーション】
がんのリハビリとは?
●がんになると、がんそのものによる痛みや食欲低下、倦怠感によって臥床時間(寝ている時間)が長くなったり、手術や抗がん剤治療(化学療法)などを受けることによって身体機能が低下したりすることがあります。 それに伴い、日常生活に支障をきたし、仕事や家事などへの復帰も困難となりQOLも著しく低下してしまいます。
●がんのリハビリは、身体機能障害や能力低下をできる限り予防し、生活動作能力の向上や仕事や家事への復帰 を目指します。
当院におけるがんのリハビリの現状
●当院では、がん患者リハビリテーション研修を終了した理学療法士、作業療法士が計8名在籍しており、医師・看護師・医療ソーシャルワーカーなどの他職種を交え、がんリハチームとして活動しています。定期的にカンファレンスを行い、チーム内での情報交換や目標設定を行い、個々の患者さまに応じたケアやリハビリを提供しています。
●当院では、肺がん、消化器系のがん(大腸がん、胃がん)、乳がんの患者さまを対象にすることが多く、対象となる障害としては、骨転移による骨折や脊髄腫瘍による麻痺、筋力低下、術後合併症などがあります。
●実際のリハビリの内容は、がんの部位、病期によって異なり、がん診断早期の予防的な時期から緩和的な時期 まで様々です。当院では、開胸・開腹術後、乳がん術後の患者さまが多く、術前より術後に予測される合併症(肺炎、肩関節可動域制限など)の予防に努め、早期離床、早期退院を目指します。
がんリハビリカンファレンス
術前呼吸指導の一例
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